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ローカルの人事部長を採用する際の留意点、採用プロセス、人事部長に特化した面談時の質問事項のご提案。

By Seiji Iwarmura

近年、既存の人事体制に不満や危機感を感じている日系企業の現地法人の社長を含む経営層の方々から、優秀なローカルの人事部長を採用したいとのご相談を多く頂きます。人事部門以外の部長職であれば、人事部長にも頼る事が出来ますが、人事部長の採用となりますと、経営層自らが現在の組織の課題をまとめ、理想とする人材像を明確にし、採用の全てを担う必要があります。そこで、ローカルの人事部長を採用する際の留意点、採用プロセス、人事部長に特化した面談時の質問事項をご提案いたします。
 

1. ローカルの人事部長の採用を開始する前の留意点

既存の人事部長が定年に達するに際し、その後任となる人材を採用する場合は、既存の人事部長が、定年退職する心の準備が出来ているかどうかを確認する必要があります。なぜなら、口頭では自分の後任として優秀な人材を採用したいと言っていても、心の中では定年退職する準備が出来ていない可能性があるからです。もしくは、延長して勤続していきたいと、実は強く思っている可能性もあります。定年退職する人事部長も採用プロセスに加わり、自らの後任を採用する場合は、現在の心理や定年退職に向けた決意の程を、経営層は十分に把握しておく必要があるでしょう。

定年退職ではなく、パフォーマンスの低い人事部長の後任の採用は、一般的に社内外で極秘に採用活動を進め、後任の採用が決定してから既存の人事部長に解雇もしくは他部署への移動を通達するケースが多いです。部長レベルであるにも関わらず明らかに能力不足の場合は、人事部のメンバーや組織全体を考慮し、解雇もしくは他部署への移動を検討すべきでしょう。

新規の人事部長の採用に関して留意すべき点は、既存の人事課長(HR Manager)がいる場合でも採用を任せず、経営層が採用を進めていくべきでしょう。人事としてもっと成長していきたいという高いモチベーションを持つ人事課長であれば、自分の上司となる、経験豊富で優秀な人事部長の採用を、積極的にサポートするかもしれませんが、一方、自分自身が人事部長に昇進する事を期待していたり、昇進の機会を失ってしまうという危機感を感じている場合は、人事課長が採用プロセスに関わる事はマイナスになる可能性があります。

以上の通り、人事部長の採用は、社内のスタッフに頼れない事案となりますが、一方、理想の組織や理想の人事部長像をもとに、自ら採用を進める事となりますので、経営層としては遣り甲斐のある事案となるでしょう。
 

2. 理想とする人事部長像を明確にする

定年退職する人事部長や、パフォーマンスの低い人事部長の後任の採用、もしくは全くの新規での採用でも、現在の組織の課題点をリストアップしていきますと、理想の人事部長像が明確となります。現在人事部長レベルの人材も、かつては人事部門の中の或る特定の部署の担当であった場合が多く、人事の中でも特に得意とする分野があります。現在の組織において、どの人事分野における問題や課題が多いかが明確になりますと、更に相応しい人事部長像が明確になります。会社設立からまだ数年した経っていないのか、それとも三十年以上経つのか、製造会社であれば労働組合があるのか無いのか、現地パートナーとの合弁なのか等も、理想の人事部長像を明確にする上で考慮に入れるべきです。

ご参考として、以下は近年日系クライアントからご依頼を頂いた、人事部長の採用案件の採用背景と理想の人事部長像です。

日系自働車部品製造会社の例:
新規に採用する人事部長に期待している点は、現在、人事総務部門はしっかりとしたプロセスやシステムが無い状態なので、まずはしっかりとしたプロセスやシステムを構築してもらいたい。特に人事評価制度は、ほぼ無いに等しい状況であるので、人事評価制度の構築は急務である。その他の課題は、人事制度全般の見直しや新しい制度の導入などである。新しい人事制度を導入していく上で、古くからいる各部門長の反発も想定されるが、そのような環境下でも職務を遂行していく事の出来る、タフな人事部長を採用したい。

日系電子機器販売会社の例:
現在、既存の人事部長がいるが、パフォーマンスが低く、部下の尊敬も全く得られていない。よって、有能で部下からも尊敬される新しい人事部長の採用が急務となっている。新しい人事部長には、従業員と日本人社長との良好な関係の構築に貢献し、社長にとって頼れる右腕となってもらいたい。従業員が何を必要としているのか把握し、社長に伝える事を期待している。社内での人事部門の役割を総括的に向上させ、組織の更なる成長や、人事関連における業界内の優良企業となる事が、新しい人事部長の使命である。

日系自働車部品製造会社の例:
新しく採用する人事部長には、労務に関する新しいアイデアを出し、実施してもらいたい。現在労働組合は無いが、組合の有無に関わらず、労務関連の問題の無い会社としてのステータスを維持していきたい。よって、特に労務関係に長けた人事部長を採用したい。日本人経営層に対する良きアドバイザーとなり、現地従業員から信頼を得て、社内において影響力のあるローカル幹部となってもらいたい。

日系素材製造会社の例:
設立から数年が経ち、組織も大きくなってきたが、人事の専門家がこれまで社内にいなかった為、会社の規模に応じた人事制度が出来上がっていない状況である。新しく採用する人事部長には、現在の組織の状況を把握し、取り組むべき課題を割り出し、日本人の経営層にアイデアや対策を提案する事が期待されている。例えば、業務のマニュアル化の推進、業務の質の一定化、個々の能力開発や教育などである。一方、人事総務部の各スタッフの意識を改善させる事も課題である。

日系産業機器販売会社の例:
設立から数十年が経ち、百名以下の規模だった会社が数百名規模となったが、設立当初の人事制度が現在でも使われている状況である。現在の会社の規模に相応しい人事制度を構築する事が急務となっている。その他の課題は、ローカルのマネジメント層の育成、行動規範の向上、生き生きとした職場環境の実現などである。社長の理想とする組織を一緒に作り上げていく事の出来る人事部長を採用したい。
 

3. 相応しいと思われる候補者を見つける

理想の人事部長像が明確になった後は、次のステップとして、ボイデンのようなエグゼクティブサーチ会社に依頼するか、もしくは人材紹介会社や求人広告などを利用し、候補者を募るのが一般的な方法です。部長レベルの採用であるので、エグゼクティブサーチ会社をご利用される事を推奨いたします。特に極秘に採用を進める必要がある場合は、エグゼクティブサーチ会社のサーチ手法が活かされます。

エグゼクティブサーチ会社や人材紹介会社をご利用の場合は、対象となる人材市場の情報の提供を仰ぎ、エージェントと共に待遇条件も含め採用条件を煮詰めていく事が出来ます。タイにおいては、人事部長の給与水準は、他の職種の部長職と比較をすると高めとなっています。
 

4. 候補者との面談の仕方

面談をする相手は人事部長ですので、立派な面談をしなければいけないと、気を張る必要はありません。面談時には、組織の現在の問題や課題を全て正直に伝え、それらに対し、人事部長として、どのように対応するのがベストな方法か、アイデアや考えを聞く良いと思います。また、社長としての将来の目標やビジョンを候補者に伝える事も重要です。

複数名の候補者の中から最も相応しいと思われる一名の候補者を見極める為には、面談時にどのような質問をするかは重要です。以下に、人事部長を面談する際の相応しい質問をご紹介いたします。

人事の中で、どの分野を得意としているかを確認する質問:

人事部長として必要な素質を持っているか確認する質問:
コミュニケーション(Communication skill):

影響力(Influencing skill):

問題解決力(Problem solving skill):

リーダーシップ(Leadership):

モチベーション (Motivation):

5. 採用したい人事部長の選出

複数名の候補者との一次面談を実施し、最も相応しいと思える一名の候補者を選ぶ事が出来たら、リファレンスチェック(身元照会)の実施や二次面談を行う事をお勧めします。二次面談では、より具体的な事案に関してディスカッションや情報交換をされる事をお勧めします。リファレンスチェックの結果と二次面談の結果の両方がポジティブで、懸念点も見つからなければ、その人材を採用する事は正しい判断であると思って頂いて大丈夫です。
 

まとめ

現地従業員のマネジメントで事業を推進していかなければならない海外拠点においては、頼もしいローカルの人事部長は、組織の更なる発展において必要不可欠な存在と言えるでしょう。また、経験豊富なローカルの人事部長の採用は、組織の負の部分を浄化させ、組織全体を良い方向に顕著に変えていく事を可能とします。企業が抱えている問題点を経営層が認識し、それらを踏まえ、将来の目標やビジョンが明確となれば、海外拠点におけるローカルの人事部長の採用は成功するでしょう。

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